MV Agusta Brutale 1000 RR
この記事では、「走る宝石」とも称されるイタリアの至宝、MV Agusta(エムブイ・アグスタ)が世に送り出すハイパーネイキッドの頂点、「MV Agusta Brutale 1000 RR」について、その詳細スペック、息をのむ特徴、他の追随を許さない魅力、そしてライバルとなるであろうモデルとの比較などを徹底的に掘り下げていきます。量産ネイキッドバイクとして驚異的なパワーと、工芸品レベルの美しさを両立させたこのマシン。まさに選ばれしライダーのための特別な一台と言えるでしょう。Brutale 1000 RRの世界に触れたい方、購入を検討されている方は、ぜひ最後までお付き合いください。
先にスペックを確認したい方は、こちらのボタンからジャンプできます。
バイクの概要・特徴
MV Agusta Brutale 1000 RRは、イタリアの名門バイクメーカーMV Agustaが「モーターサイクルアート」の哲学のもとに生み出した、フラッグシップ・ネイキッドモデルです。Brutale(ブルターレ)シリーズは、その名の通り「獰猛」さを表現したアグレッシブなスタイリングとパフォーマンスで知られますが、この1000 RRはその頂点に君臨します。
心臓部には、同社のスーパースポーツモデル「F4」シリーズから受け継ぎ、さらに進化させた998cc並列4気筒エンジンを搭載。最高出力は208馬力という、ネイキッドバイクとしては異次元のパワーを発揮します。その強大なパワーを受け止めるため、フレームや足回り、電子制御システムに至るまで、考えうる最高のテクノロジーとマテリアルが惜しみなく投入されています。
デザインは、機能美と芸術性が見事に融合。シャープなライン、官能的な曲線、そして細部にまでこだわり抜かれた作り込みは、まさにイタリアンデザインの極致。カーボンファイバー製のパーツや、特徴的な4本出しサイレンサーが、その存在感を一層際立たせています。Brutale 1000 RRは、単なる移動手段ではなく、所有する喜び、眺める喜びをも満たしてくれる特別な一台なのです。

魅力・注目ポイント
異次元のパワー!208馬力を発生する並列4気筒エンジン
Brutale 1000 RRの核心は、何と言ってもそのエンジンです。998ccの水冷並列4気筒DOHC16バルブエンジンは、最高出力208 HP (153 kW) を13,000 rpmで発生。これは現行の量産ネイキッドバイクにおいて、紛れもなくトップクラスの数値です。内部には、チタン製コンロッドやラジアルバルブ配置など、レース由来の技術がふんだんに採用されており、鋭いレスポンスと高回転域での圧倒的な伸びを実現しています。
そのサウンドもまた格別。MV Agusta独特の官能的なエキゾーストノートは、ライダーの高揚感を極限まで高めてくれるでしょう。

まさに芸術品。機能と美を融合したデザイン
MV Agustaのデザインは、しばしば「モーターサイクルアート」と評されますが、Brutale 1000 RRはその言葉を最も体現しているモデルの一つです。低く構えたフロントマスクから、筋肉質でありながら流麗なタンクライン、そして跳ね上がるようなテールセクションに至るまで、すべてが計算され尽くした美しさを持っています。
随所に使用されたカーボンファイバー製のパーツ(フロントフェンダー、エアボックスカバー、ウイングレットなど)は、軽量化に貢献するだけでなく、見た目の高級感とスポーティさを演出。そして、リアビューを特徴づけるオルガンパイプのような4本出しサイレンサーは、機能性とデザイン性を高次元で両立させた、MV Agustaならではのアイコンです。

最先端を行く電子制御パッケージ
208馬力という強大なパワーを安全かつ効率的に路面へ伝えるため、最新鋭の電子制御システムが搭載されています。第2世代のMK100コンチネンタル製ABSユニットは、コーナリング機能とRLM(リアホイール・リフトアップ・ミティゲーション)を備え、あらゆる状況での安定したブレーキングをサポート。最新世代のIMU(慣性計測ユニット)が車両の動きを緻密に検知し、トラクションコントロール(8段階+OFF)、ローンチコントロール、FLC(フロントリフトコントロール)などを最適に制御します。
さらに、クラッチ操作不要でスムーズなシフトチェンジを可能にする電子アシストシフト(EAS 3.0+ アップ&ダウン)や、長距離走行の疲労を軽減するクルーズコントロールも標準装備。これらの設定は、高精細な5.5インチTFTカラーディスプレイで確認・調整でき、スマートフォンと連携するMV Rideアプリを使えば、ナビゲーション表示や各種設定のパーソナライズも可能です。

最高級コンポーネントによる卓越した足回り
サスペンションには、前後ともにオーリンズ製の電子制御セミアクティブサスペンション(Smart EC 2.0)を採用。走行状況やライディングモードに応じて、減衰力をリアルタイムで自動調整し、常に最適な乗り心地とハンドリングを提供します。もちろん、マニュアルでの調整も可能です。
ブレーキシステムもトップグレード。フロントにはブレンボ製のStylema®ラジアルマウント4ピストンキャリパーと320mm径ダブルディスク、リアにもブレンボ製2ピストンキャリパーと220mm径ディスクを装備。絶対的な制動力と、繊細なコントロール性を両立しています。
ネイキッドの常識を超えるエアロダイナミクス
Brutale 1000 RRは、ネイキッドモデルでありながら、高速域での安定性を高めるためにエアロダイナミクスにも注力しています。ラジエーターサイドに設けられたカーボン製のウイングレットは、ダウンフォースを発生させ、フロントタイヤの接地感を向上。300km/hを超える最高速度域においても、安定した走行を可能にするための重要なデバイスです。

ライバル車種との比較
MV Agusta Brutale 1000 RRの直接的なライバルとなるのは、同じくヨーロッパ製のハイエンド・ハイパーネイキッドモデルでしょう。ここでは代表的な2台と比較してみます。
項目 | MV Agusta Brutale 1000 RR | Ducati Streetfighter V4 S | KTM 1390 Super Duke R EVO |
---|---|---|---|
エンジン | 並列4気筒 998cc (208HP) | V型4気筒 1103cc (208HP) | V型2気筒 1350cc (190hp) |
車両重量 (乾燥) | 186 kg | 178 kg | 非公表 (装備201kg) |
サスペンション | オーリンズ電子制御 (Smart EC 2.0) | オーリンズ電子制御 (Smart EC 2.0) | WP電子制御 (SAT) |
ブレーキ (Fキャリパー) | ブレンボ Stylema® | ブレンボ Stylema® | ブレンボ Stylema® |
電子制御 | フルパッケージ (IMU, コーナリングABS, TC, LC, FLC, EAS, CC) | フルパッケージ (IMU, コーナリングABS, TC, WC, SC, LC, DQS, CCオプション) | フルパッケージ (IMU, コーナリングABS, TC, WC, SC, LCオプション, クイックシフター+, CC) |
エアロデバイス | ウイングレット標準装備 | バイプレーン・ウイング標準装備 | タンクスポイラー/ウイングレット |
価格帯 (税込) | 超高価 (約450万円~) | 高価 (約300万円~) | 高価 (約270万円~) |
特徴 | 芸術的デザイン、希少性、並列4気筒サウンド、最高出力 | V4エンジンのトルクとパワー、先進性、ブランド力 | 大排気量Vツインの強烈なトルク、アグレッシブさ、WP電子制御サス |
※スペック・価格は2025年4月時点の参考値です。仕様や年式により異なります。
- Ducati Streetfighter V4 S:同じイタリアンブランドで、強力なV4エンジンとオーリンズ電子制御サス、ウイングレットを装備。Brutale 1000 RRに最も近いコンセプトを持つライバルです。価格帯はBrutaleよりは抑えられていますが、それでも高価です。エンジンフィール(並列4 vs V4)やデザインの好みが選択のポイントになるでしょう。
- KTM 1390 Super Duke R EVO:オーストリアの雄。”THE BEAST”の異名を持つアグレッシブなモデル。大排気量Vツインが生み出す圧倒的なトルクと、WP製の電子制御サスペンションが特徴。価格は3車の中では最も手頃ですが、方向性は異なります。
どんな人におすすめ?
MV Agusta Brutale 1000 RRは、その性能、価格、そして性格から、誰にでもおすすめできるバイクではありません。以下のようなライダーにこそ、その真価を発揮するでしょう。
こんなライダーにおすすめ!
- 究極のパフォーマンスを求める経験豊富なライダー:208馬力というパワーを扱いきるには、相応のスキルと経験が必要です。サーキット走行も視野に入れている方に最適です。
- モーターサイクルアートとしての価値を理解できる方:性能だけでなく、その造形美、希少性に価値を見いだし、所有する喜びを深く味わいたい方。
- 最新・最高のテクノロジーに魅力を感じる方:電子制御サスペンションや高度なライダーアシスト機能など、最先端技術の恩恵を受けたい方。
- 「人とは違う、特別な一台」に乗りたい方:圧倒的な存在感と希少性で、どこへ行っても注目を集めることは間違いありません。
- MV Agustaというブランドに強い憧れを持つ方:レースの歴史と情熱を受け継ぐ、特別なブランドの世界観に浸りたい方。
注意点: このバイクは、初心者ライダーや、主に街乗りや通勤での利用を考えている方には、そのパワー、価格、維持費の面から強く推奨できません。
購入前にチェックしたいポイント
唯一無二の魅力を持つBrutale 1000 RRですが、購入を決断する前に、いくつか現実的な側面も考慮する必要があります。
購入前のチェックポイント
- 車両価格:約450万円~という価格は、量産バイクとしては最高峰クラスです。購入予算はもちろん、盗難対策なども含めたトータルコストを考える必要があります。
- 維持費:部品代、専用工具や知識を要するメンテナンス費用、高額な任意保険料など、維持費は国産リッターバイクの比ではありません。購入後のランニングコストを十分にシミュレーションしておくことが重要です。
- 正規ディーラー網:MV Agustaの正規ディーラーは、他の主要メーカーと比較して限られています。お住まいの地域や近隣に、信頼できるディーラーや専門ショップがあるか、購入前に必ず確認しましょう。
- 取り回しと足つき性:乾燥重量186kgはクラス最軽量レベルですが、シート高は845mmとかなり高めです。身長や体格によっては、足つきに不安を感じる可能性があります。軽量とはいえ、取り回しには慣れが必要です。実車での確認は絶対に必要です。
- エンジンの発熱量:高性能な大排気量エンジン、特に並列4気筒は、発熱量が大きくなる傾向があります。夏場の渋滞路などでは、ライダーがかなりの熱を感じる可能性があります。
- 実用性:これはスーパースポーツに近い性格を持つハイパーネイキッドです。積載性はほぼ皆無であり、タンデム(二人乗り)も快適とは言えません。日常的な利便性よりも、走りのパフォーマンスとスタイルを最優先した設計であることを理解しておく必要があります。
まとめ
MV Agusta Brutale 1000 RRは、量産ネイキッドバイクの常識を覆す208馬力という圧倒的なパワーと、見る者を虜にする芸術的なデザイン、そして最先端のテクノロジーを高次元で融合させた、まさにハイパーネイキッドの頂点に立つ存在です。
その価格や維持には相応の覚悟が必要ですが、手に入れた者にしか味わえない官能的なライディングエクスペリエンス、圧倒的な所有感、そしてモーターサイクルアートを所有する喜びは、何物にも代えがたい価値を提供してくれるでしょう。
これは、単なる速さやスペックを追い求めるだけでなく、バイクという存在そのものに情熱と美学を求める、選ばれたライダーのためのマシンです。
もしあなたが幸運にもこのマシンに触れる機会を得られたなら、ぜひそのディテール、質感、そして跨った時の高揚感を全身で感じてみてください。理性だけでは語れない、特別な何かがそこにあるはずです。

よくある質問
MV Agusta Brutale 1000 RRの運転に必要な免許は何ですか? 排気量が998ccですので、大型自動二輪免許(限定なし)が必要です。 燃費はどのくらいですか? メーカー公表値は6.8 L/100 kmです。これは約14.7 km/Lに相当します。ただし、これはあくまでカタログ値であり、実際の燃費は走行状況や運転の仕方によって大きく異なります。高性能バイクですので、燃費を最優先するモデルではありません。 最高速度はどのくらい出ますか? 公式ウェブサイトには「最高速度 > 300 km/h」と記載されています。これは公道での走行を意味するものではなく、クローズドコースなど特定の条件下でのポテンシャルを示すものです。
スペック
MV Agusta Brutale 1000 RR 主要諸元 (現行モデル参考)
価格 (税込) | 4,510,000円~ (※カラー等により変動する可能性あり) |
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年式 | 2024-2025年 (現行モデル) |
排気量 | 998 cc |
最高出力 | 153.0 kW (208 hp) @ 13,000 rpm |
最大トルク | 116.5 Nm (11.9 kgm) @ 11,000 rpm |
エンジン形式 | 水冷4ストローク並列4気筒 DOHC 16バルブ (ラジアルバルブ) |
ミッション形式 | カセット式6速リターン (電子アシストシフト EAS 3.0+ アップ&ダウン) |
タイヤサイズ(前) | 120/70 – ZR 17 M/C (58 W) |
タイヤサイズ(後) | 200/55 – ZR 17 M/C (78 W) |
ブレーキ形式(前) | ブレンボ製 Stylema® ラジアルマウント4ピストンキャリパー x 2, 320mm径フローティングダブルディスク, コーナリングABS MK100 (RLM付) |
ブレーキ形式(後) | ブレンボ製 2ピストンキャリパー, 220mm径シングルディスク, コーナリングABS MK100 |
サスペンション(前) | オーリンズ製 Nix EC 油圧式倒立フォーク (電子制御リバウンド/コンプレッション/プリロード調整) TiNコート φ43mm |
サスペンション(後) | オーリンズ製 TTX EC プログレッシブシングルショックアブソーバー (電子制御リバウンド/コンプレッション/プリロード調整) アルミ製片持ち式スイングアーム |
全長×全幅 | 2,080 mm × 805 mm |
ホイールベース | 1,415 mm |
シート高 | 845 mm |
車両重量 (乾燥) | 186 kg |
タンク容量 | 16 L |
燃費 (WMTC準拠かは不明) | 6.8 L/100 km (約14.7 km/L) |
乗車定員 | 1名 (※日本仕様は構造変更により2名乗車可能な場合あり。要確認) |
フレーム | CrMoスチール鋼管トレリスフレーム (アルミニウム合金製ピボットプレート) |
主な電子制御 | ライディングモード(4種), IMU, コーナリングABS(RLM付), トラクションコントロール(8段階+OFF), ローンチコントロール, FLC, EAS 3.0+, クルーズコントロール, フルLEDライト, 5.5インチTFTディスプレイ, MV Rideアプリ連携, GPS, Bluetooth |
※価格・スペックは2025年4月時点のMV Agusta公式サイトの情報を参考にしています。年式や仕向け地、オプション装着状況により仕様・価格が異なる場合があります。最新の情報は必ず正規ディーラーにご確認ください。日本仕様では乗車定員などが異なる場合があります。