Ducati Monster / Monster+ / Monster SP
この記事では、ドゥカティが誇るネイキッドバイクのアイコン、「Ducati Monster (モンスター)」の現行モデル(937cc)について、その詳細スペック、際立つ特徴、他のバイクにはない魅力、そして気になるライバル車種との比較などを徹底解説します。1993年の登場以来、ネイキッドバイクのカテゴリーに革命をもたらしたモンスター。その最新世代は、伝統を受け継ぎつつ、さらなる進化を遂げています。ドゥカティ モンスターの購入を検討している方、乗り換えを考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
先にスペックを確認したい方は、こちらのボタンからジャンプできます。
バイクの概要・特徴

Ducati Monsterは、1993年に初代モデルが登場して以来、30年以上にわたり世界中のライダーから愛され続ける、ドゥカティを象徴するネイキッドバイクです。「バイクの本質(エッセンシャル)を追求する」というコンセプトのもと、無駄を削ぎ落としたデザインと、ライディングの楽しさを最大限に引き出すパフォーマンスを両立させてきました。
現行モデルは、長年採用されてきた伝統のトレリスフレームを廃止し、スーパースポーツモデルであるパニガーレV4の技術に着想を得たアルミニウム製フロントフレームへと刷新。エンジン自体をフレームの強度部材として活用する構造により、劇的な軽量化を達成しています。心臓部には、扱いやすさとパワフルさを高次元でバランスさせた937ccの水冷L型2気筒エンジン「テスタストレッタ11°」を搭載。日常的な市街地走行からワインディングでのスポーティな走りまで、あらゆるシチュエーションでドゥカティならではのエキサイティングなライディングフィールを提供します。
現在のラインナップは、基本となる「Monster」、小ぶりなメーターバイザーとシングルシート風カバーを追加してスタイリッシュさを高めた「Monster+(プラス)」、そしてオーリンズ製サスペンションやブレンボ製Stylema®ブレーキキャリパー、テルミニョーニ製サイレンサーといった高性能パーツを奢られたスポーツグレード「Monster SP」という、個性豊かな3つのグレードで展開されています。
魅力・注目ポイント
驚異の軽さ!伝統を打ち破る新設計フレーム
現行モンスターを語る上で外せない最大のトピックは、その徹底的な軽量化へのこだわりです。パニガーレV4由来のアルミ製フロントフレーム、ガラス繊維強化ポリマー(GFRP)製のリアサブフレーム、そしてホイールやスイングアームに至るまでグラム単位での軽量化を追求。その結果、乾燥重量はわずか166kg(SPモデルも同値)という、ミドルクラスネイキッドとしては驚異的な軽さを手に入れました。これは先代モデル(Monster 821)と比較して、実に約18kgもの軽量化となります。
この圧倒的な軽さは、信号待ちからの発進や駐車時の取り回しを容易にするだけでなく、コーナー進入時の倒し込みの軽快さ、切り返しの俊敏さ、そして加減速におけるシャープなレスポンスに直結。「バイクを意のままに操る」という根源的な楽しさを、より高いレベルで実現しています。
街乗りからワインディングまで自在!テスタストレッタ11°の魅力
搭載されるエンジンは、ドゥカティの最新世代 L型2気筒ユニット「テスタストレッタ11°」(排気量937cc)。最高出力111HPを9,250rpmで、最大トルク93Nmをわずか6,500rpmで発生します。特に注目すべきは、実用域である低・中回転域でのトルク特性です。非常に豊かで扱いやすいトルクにより、街中でのストップ&ゴーやUターンもスムーズ。一方で、アクセルを開ければ高回転域まで淀みなく吹け上がり、ドゥカティらしい情熱的でパワフルな加速感を存分に堪能できます。
さらに、軽い操作感を実現する油圧式クラッチや、クラッチ操作不要でシフトアップ/ダウンが可能なドゥカティ・クイック・シフト(DQS)EVOを全グレードに標準装備。ライダーの疲労を軽減し、よりライディングに集中できる環境を提供します。

安全と楽しさを両立!最新電子制御システム
ドゥカティの先進性は、充実した電子制御パッケージにも表れています。6軸IMU(慣性計測ユニット)がバイクの姿勢をリアルタイムで検知し、バンク角に応じて介入度を最適化するコーナリングABS EVOをはじめ、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)EVO、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)EVOといった安全装備を標準搭載。ライダーのスキルをサポートし、様々な路面状況で安心して走りを楽しめます。
加えて、走行シーンに合わせてエンジン特性や電子制御の介入レベルを一括変更できる3つのライディングモード(スポーツ、ツーリング、アーバン)も搭載。これらの設定状況は、スマートフォンアプリのような直感的なインターフェースを持つ、高精細な4.7インチTFTカラー液晶ディスプレイで容易に確認・調整が可能です。

一目でわかるモンスターらしさ!洗練されたイタリアンデザイン
デザイン面では、初代から受け継がれるモンスターの象徴、バイソン(野牛)の背中のようなタンク形状はしっかりと継承。そこに現代的な解釈を加え、よりシャープで筋肉質なラインで構成されています。円形のフルLEDヘッドライトには印象的なデイタイム・ランニング・ライト(DRL)が組み込まれ、ウインカーには流れるように点滅するダイナミック・ターンインジケーターを採用するなど、先進性もアピール。フレームやエンジンといったメカニカルな要素をデザインの一部として大胆に見せる手法は、まさに「エッセンシャル(本質的)」というモンスターの哲学を体現しています。
ボディカラーは、グレードごとに個性的なラインナップが用意されています。(2025年4月時点)
- Monster / Monster+: 情熱的な「ドゥカティ・レッド」、クールな「アビエイター・グレー」、精悍な「ダーク・ステルス」
- Monster SP: MotoGPマシン「デスモセディチGP」にインスパイアされた、特別なグラフィックを採用した専用カラーリング
さらに過激に!サーキットを見据えたMonster SP
より本格的なスポーツライディングを追求するライダーのために用意されたのが、トップグレードの「Monster SP」です。スタンダードモデル/Monster+からの主な変更点は、まさに「走り」に直結する部分に集中しています。
Monster SP 主な専用装備
- オーリンズ製 フルアジャスタブル・サスペンション:フロントにNIX30フォーク、リアにTTXショックアブソーバーを採用し、路面追従性とスポーツ性能を大幅に向上。
- ブレンボ製 Stylema® フロントブレーキキャリパー:より強力でコントローラブルな制動力を実現する、レースグレードのブレーキシステム。
- ステアリングダンパー:高速走行時の安定性を向上。
- テルミニョーニ製 承認デュアルサイレンサー:軽量化と性能向上に加え、官能的なサウンドを提供。
- ピレリ製 ディアブロ・ロッソⅣ タイヤ:よりハイグリップなスポーツタイヤを標準装備。
- リチウムイオンバッテリー:さらなる軽量化(装備重量でマイナス2kg)に貢献。
- ローンチコントロール:静止状態からの鋭い発進加速をサポート。
- 専用カラーリング&グラフィック:MotoGPマシンを彷彿とさせるアグレッシブな外観。
これらの特別な装備により、Monster SPはワインディングはもちろん、サーキットでのスポーツ走行においても、ライダーの期待に応える高いポテンシャルを発揮します。

ライバル車種との比較
Ducati Monsterは、そのユニークなキャラクターから多くの比較対象が存在します。特に、同じヨーロッパ製のミドルクラスネイキッドや、高性能な日本製ネイキッドが有力なライバルとなるでしょう。ここでは代表的な2モデルと比較してみます。
項目 | Ducati Monster (937) | Yamaha MT-09/SP | Triumph Street Triple R/RS |
---|---|---|---|
エンジン | L型2気筒 937cc (111HP) | 並列3気筒 888cc (120PS) | 並列3気筒 765cc (R:120PS, RS:130PS) |
車両重量 (装備) | 188kg (SP: 186kg) | 193kg (SP同) | R: 189kg, RS: 188kg |
フレーム | アルミ製フロントフレーム | CFアルミダイキャスト | アルミツインスパー |
電子制御 | 充実 (コーナリングABS, DTC, DWC, DQS, モード) | 充実 (6軸IMU, コーナリング対応各種制御, QSS) | 充実 (コーナリングABS/TC, モード, QSS *RSはIMU搭載) |
サスペンション (標準/上位) | KYB/ザックス(フル調整式) / オーリンズ(SP) | KYB(フル調整式) / KYB/オーリンズ(SP) | ショーワ(フル調整式)/ショーワ/オーリンズ(RS) |
価格帯 (税込) | 高価 (約156万円~) | 比較的安価 (約125万円~) | 中間的 (約120万円~) |
特徴 | 圧倒的な軽量性、Lツインの鼓動感、デザイン、ブランド力 | 3気筒のパワーとトルク、コスパ、軽快なハンドリング | 洗練された3気筒、俊敏なハンドリング、高品質な装備(RS) |
※スペック・価格は2025年4月時点の参考値です。仕様や年式により異なります。
- ヤマハ MT-09/SP:パワフルでトルクフルな3気筒エンジンと、充実した電子制御を比較的リーズナブルな価格で実現している点が最大の魅力。SPモデルは足回りも強化されています。モンスターと比較した場合、独特のエンジンフィール(Lツインの鼓動感 vs 3気筒のスムーズさとパンチ力)やデザインの方向性(イタリアン vs ジャパニーズ・モダン)が選択の分かれ目となりそうです。
- トライアンフ Street Triple R/RS:こちらも洗練された3気筒エンジンを搭載し、特にRSグレードはオーリンズ製リアショックやブレンボ製Stylema®キャリパーなど、モンスターSPに匹敵する豪華な装備を誇ります。「ハンドリングのトライアンフ」と呼ばれる通り、軽快でニュートラルな操縦性は高く評価されており、スポーツ性能では強力なライバルです。
Ducati Monsterを選ぶ決め手となるのは、やはりクラスを超えた圧倒的な軽さがもたらすライディングプレジャー、Lツインならではの官能的なフィーリング、そして所有欲を満たすイタリアンデザインと「Ducati」というブランドの持つ特別な魅力でしょう。最新の電子制御による安全性と、扱いやすさも兼ね備えています。価格はライバル勢に対して高めの設定ですが、それ以上の個性と価値を提供する、唯一無二の存在と言えます。
どんな人におすすめ?
Ducati Monsterは、その軽量な車体と扱いやすいエンジン特性、そして先進の電子制御により、見た目以上に幅広いライダー層にフィットするバイクです。
こんなライダーにおすすめ!
- 日常の足からツーリングまで、マルチにバイクライフを楽しみたい方:驚くほど軽量で取り回しが楽なため、街乗りが苦になりません。豊かな低中速トルクとライディングモード(特にアーバンやツーリング)を活用すれば、ロングツーリングも快適にこなせます。
- ワインディングを気持ちよく駆け抜けたい方:軽量な車体が生み出す軽快なハンドリングは、コーナーが連続するような道で本領を発揮します。Lツインのトルクを活かした立ち上がり加速も魅力です。
- サーキット走行も視野に入れている本格派ライダー(特にSP):Monster SPグレードは、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製Stylema®キャリパーなど、サーキットスペックとも言える装備を誇ります。
- デザインやブランドに強いこだわりがある方:「これぞイタリアンデザイン」というべきスタイリッシュなフォルムと、Ducatiというブランドが持つ特別なオーラは、所有する喜びを格別なものにしてくれます。
- 大型バイクデビューを考えている初心者の方:意外かもしれませんが、圧倒的な軽さ、改善された足つき性(オプション利用時)、そして充実した電子制御による安心感は、大型バイク入門にも適しています。ただし、111HPのパワーは十分以上なので、丁寧なアクセルワークは必要です。
購入前にチェックしたいポイント
デザイン、性能ともに魅力的なDucati Monsterですが、購入を決める前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。
購入前のチェックポイント
- 車両価格:スタンダードモデルでも150万円台後半からと、国産の同クラスモデルと比較すると高価な価格設定です。SPモデルは200万円を超えます。初期費用として予算をしっかり確保する必要があります。
- 維持費・メンテナンスコスト:一般的に輸入車、特にドゥカティは、部品代や整備工賃(特にエンジン特性の要であるデスモドロミック機構の定期的なバルブクリアランス調整など)が国産車よりも高くなる傾向があります。購入後のランニングコストも念頭に置いておきましょう。
- 足つき性:標準シート高は820mmです。先代モデルよりは低くなりましたが、小柄な方にはやや高く感じるかもしれません。ただし、車体が非常にスリムで軽量なため、スペック数値以上に足つきは良く感じられることが多いです。ローシート(800mm)やローダウンサスペンションキット(併用で775mm)もオプションで用意されているので、不安な方はディーラーで試してみましょう。なお、SPモデルはサスペンションストローク量の違いからシート高が840mm(ローシート装着時820mm)と若干高くなります。実車での確認は必須です。
- 正規ディーラーへのアクセス:ドゥカティの性能を維持し、安心して乗り続けるためには、正規ディーラーでの点検・整備が推奨されます。お住まいの地域やよく行く場所に、信頼できる正規ディーラーがあるか確認しておくと安心です。
- 積載能力:ネイキッドバイクの宿命として、荷物の積載性は高くありません。シート下のスペースもETC車載器程度です。長距離ツーリングなどで荷物を積載したい場合は、純正や社外品のタンクバッグ、シートバッグ、あるいはソフトタイプのサイドバッグなどを利用する必要があります。
まとめ
Ducati Monsterは、1993年の誕生から続く「ライディングの本質=Fun(楽しさ)」を追求するというコアコンセプトを、現代の技術で見事に昇華させた、まさに新世代のネイキッドスポーツです。
クラス概念を覆すほどの圧倒的な軽さ、低速から高速までライダーを満足させるテスタストレッタ11°エンジン、最先端の電子制御による安全性と安心感、そして一目で心を奪われる洗練されたイタリアンデザイン。これらの要素が高次元で融合し、日常のストリートから週末のワインディングロード、さらにはサーキット(特にSPモデル)まで、あらゆるライディングシーンを情熱的なものに変えてくれます。
価格や維持費といった側面は確かにありますが、それらを乗り越えてでも手に入れたいと思わせる、強烈な個性、卓越したパフォーマンス、そして何物にも代えがたい所有する喜びが、このバイクには詰まっています。
この記事を読んで少しでもDucati Monsterの世界に興味が湧いたなら、ぜひ臆することなくお近くのドゥカティ正規ディーラーへ足を運び、そのデザインに触れ、軽さを体感し、そして可能であれば試乗してみてください。きっと、言葉だけでは伝えきれないモンスターの魅力に、あなたも気づくはずです。
よくある質問
Ducati Monsterの運転に必要な免許は何ですか? 排気量が937ccですので、大型自動二輪免許(限定なし)が必要です。 燃費はどのくらいですか? メーカーが公表しているWMTCモード値(国際基準の燃費測定法)は5.2 L/100kmです。これは約19.2 km/Lに相当します。ただし、実際の燃費はライダーの運転スタイルや走行環境(市街地、高速道路、ワインディングなど)によって大きく変動します。 車検は必要ですか? はい、日本の法律では排気量が250ccを超えるバイクには車検制度が適用されます。Ducati Monsterは937ccですので、新車で購入した場合、最初の車検は3年後、それ以降は2年ごとに車検を受ける必要があります。
スペック
Ducati Monster / Monster+ / Monster SP 主要諸元 (2024年モデル参考)
モデル | Monster | Monster+ | Monster SP |
---|---|---|---|
価格 (税込) | 1,560,000円~ | 1,610,000円~ | 2,055,000円 |
年式 | 2024年~ (現行モデル) | ||
排気量 | 937 cc | ||
最高出力 | 111 HP (81.6 kW) @ 9,250 rpm | ||
最大トルク | 93 Nm (9.5 kgm) @ 6,500 rpm | ||
エンジン形式 | テスタストレッタ11° L型2気筒 4バルブ デスモドロミック 水冷 | ||
ミッション形式 | 6速 (ドゥカティ・クイック・シフト (DQS) アップ/ダウン EVO 標準装備) | ||
タイヤサイズ(前) | 120/70 ZR17 ピレリ ディアブロ・ロッソⅢ | 120/70 ZR17 ピレリ ディアブロ・ロッソⅣ | |
タイヤサイズ(後) | 180/55 ZR17 ピレリ ディアブロ・ロッソⅢ | 180/55 ZR17 ピレリ ディアブロ・ロッソⅣ | |
ブレーキ形式(前) | ブレンボ製 M4.32 4ピストン ラジアルマウントキャリパー, 320mm径セミフローティングダブルディスク, コーナリングABS EVO | ブレンボ製 Stylema® 4ピストン ラジアルマウントキャリパー, 320mm径アルミ製フランジダブルディスク, コーナリングABS EVO | |
ブレーキ形式(後) | ブレンボ製 2ピストン フローティングキャリパー, 245mm径ディスク, コーナリングABS EVO | ||
サスペンション(前) | KYB製 43mm径 倒立フォーク (フルアジャスタブル) | オーリンズ製 NIX30 43mm径 倒立フォーク (フルアジャスタブル) TiNコート | |
サスペンション(後) | ザックス製 プログレッシブリンク モノショック (リバウンド/プリロード調整可能) | オーリンズ製 プログレッシブリンク モノショック (フルアジャスタブル) | |
全長×全幅×全高 | 非公表 (Ducati公式) | ||
ホイールベース | 1,474 mm | ||
シート高 | 820 mm (オプション: 800mm / 775mm) | 840 mm (オプション: 820mm) | |
車両重量 (乾燥) | 166 kg | ||
車両重量 (装備) | 188 kg | 186 kg | |
タンク容量 | 14 L | ||
燃費 (WMTC) | 5.2 L/100 km (約19.2 km/L) | ||
乗車定員 | 2名 | ||
フレーム | アルミニウム合金製フロントフレーム | ||
主な電子制御 | ライディングモード, パワーモード, コーナリングABS EVO, ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC) EVO, ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC) EVO, ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)アップ/ダウン EVO, フルLEDライティングシステム(DRL付), 4.3インチTFTカラー液晶ディスプレイ, (SPのみ: ドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)) |
※価格・スペックは2025年4月時点のDucati Japan公式サイトの情報を参考にしています。年式や仕向け地、オプション装着状況により仕様・価格が異なる場合があります。最新の情報は必ず正規ディーラーにご確認ください。