この記事でわかること
- バイク免許にはどんな種類があるの?それぞれの違いは?
- 乗りたいバイクに必要な免許は?排気量との関係
- 高速道路や二人乗りは、どの免許からできる?
- 話題の「新基準原付」って何?2025年からの変更点
- 免許を取った後に知っておきたい大切なこと
風を切って走るあの感覚、自分の力でどこまでも行ける自由。バイクには、一度味わうと虜になる独特の魅力がありますよね。
「バイクに乗ってみたい!」
その気持ちが芽生えたら、次に知りたいのは「自分にはどの免許が必要なんだろう?」ということではないでしょうか。日本のバイク免許は、乗りたいバイクのエンジンの大きさ、つまり「総排気量(cc)」によっていくつかの種類に分かれています。
バイク免許の種類と運転できるバイク:ステップアップする楽しみも!
日本のバイク免許は、大きく分けて4つのカテゴリーがあります。それぞれ運転できるバイクの排気量が定められており、ステップアップしていくような構成になっています。
- 原付免許 (~50cc)
- 小型限定普通二輪免許 (~125cc)
- 普通二輪免許 (~400cc)
- 大型二輪免許 (排気量制限なし)
それぞれの免許について、どんなバイクに乗れて、どんなルールがあるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 原付免許:「ちょい乗り」の決定版!手軽さが魅力

- 運転できるバイク: 総排気量 50cc以下 のバイク
- 主な特徴: 最も手軽に取得できる免許。維持費も安く、近所への買い物や短距離の移動に最適。
「原付」と聞くと、スクーターを思い浮かべる方が多いかもしれません。まさに、そのイメージ通り、自転車に近い感覚で気軽に乗れるのが最大の魅力です。多くの車種は燃費も良く、経済的な移動手段としても活躍します。
ただし、原付には特有の交通ルールが存在します。これはしっかり覚えておく必要があります。
- 法定速度: 道路標識に関わらず、最高30km/h までしか出してはいけません。
- 二人乗り: できません。 タンデムステップが付いているように見える車種もありますが、法律で禁止されています。
- 高速道路の走行: できません。
- 二段階右折: 大きな交差点(標識で指定されている場所や、片側3車線以上の道路の特定の交差点)では、二段階右折という特殊な右折方法が必要です。これは、まず交差点の左端に沿って直進し、交差点を渡り切った先で向きを変え、正面の信号が青になるのを待ってから進むという方法です。
これらの制限があるため、幹線道路を車の流れに乗って走るのは難しい場面もあります。
【重要】2025年4月から「新基準原付」が登場予定!
現在、大きな注目を集めているのが、2025年(令和7年)4月から施行予定の道路交通法改正です。これにより、総排気量125cc以下で、かつ最高出力が4.0kW(5.4馬力)以下の特定のバイクが、新たに「新基準原付」として定義され、原付免許で運転できるようになる見込みです。
これは、年々厳しくなる排ガス規制に対応するため、従来の50ccエンジンでは基準を満たすのが難しくなってきたことが背景にあります。125ccクラスのエンジンをベースに出力を抑えることで、規制に対応しつつ、原付クラスの手軽さを維持しようという動きです。
注意点としては、たとえ排気量が125ccであっても、この「新基準原付」に該当するバイクは、法律上は従来の50cc原付と同じ扱いになります。 つまり、法定速度30km/h、二段階右折義務、二人乗り不可といったルールがそのまま適用される予定です。見た目は125ccバイクでも、走りのルールは原付、という少しややこしい存在になるため、今後の情報には注意が必要です。
豆知識:普通免許があれば原付に乗れる!
2. 小型限定普通二輪免許:利便性と経済性のベストバランス?

- 運転できるバイク: 総排気量 125cc以下 のバイク (通称:原付二種)
- 主な特徴: 原付の制限がなくなり、街乗りが格段に快適に。維持費も比較的安く、実用性が高い。
原付免許との大きな違いは、以下の点です。
- 法定速度: 自動車と同じ60km/hまで出すことができます。
- 二段階右折: 不要です。自動車と同じように、交差点の中央に寄って右折できます。
- 二人乗り: 免許を取得してから1年以上経過すれば、一般道での二人乗りが可能になります。(※二人乗り用の設備があるバイクに限る)
- 高速道路の走行: こちらは残念ながらできません。
原付特有の制限から解放され、車の流れに乗ってスムーズに走れるようになるため、通勤・通学の距離が少し長い方や、バイパスなどを利用する方には大きなメリットがあります。燃費が良いモデルが多く、任意保険料も比較的安価な傾向にあるため、経済的な負担を抑えたい方にもおすすめです。
AT限定免許なら、さらに手軽!
スクータータイプのバイクに乗りたいと考えているなら、AT小型限定普通二輪免許という選択肢があります。「AT」はオートマチックの略で、クラッチ操作やギアチェンジが不要なバイクに限定される免許です。操作がシンプルなため、運転に集中しやすく、特に初心者の方や女性に人気があります。教習もAT車で行うため、比較的スムーズに取得しやすいと言われています。(ただし、AT限定免許ではMT車(マニュアル車)には乗れません。)
3. 普通二輪免許:バイクライフの可能性が無限大に!

- 運転できるバイク: 総排気量 400cc以下 のバイク
- 主な特徴: 高速道路の走行が可能になり、行動範囲が一気に広がる。選べるバイクの種類が非常に豊富。
かつて「中型免許」「中免(ちゅうめん)」と呼ばれていた区分で、多くのライダーがまず目標にする人気の免許です。この免許があれば、街乗りはもちろん、高速道路を使った本格的なツーリングを楽しむことができるようになります。
- 高速道路の走行: 可能です。
- 二人乗り:
- 一般道:免許取得から1年以上経過で可能
- 高速道路:運転者が20歳以上であり、かつ免許取得から3年以上経過している場合に可能(普通二輪または大型二輪免許の期間)
知っておきたい「車検」のこと
バイクには、自動車と同じように「車検(自動車検査登録制度)」があります。しかし、これは排気量251cc以上のバイクに適用されるもので、250cc以下のバイクには車検がありません。 普通二輪免許で運転できる400cc以下のバイクの中には、車検が必要なモデルと不要なモデルがあるということです。維持費を少しでも抑えたい場合は、250ccクラスのバイクを選ぶというのも一つの考え方です。
こちらもAT限定が選べます
400ccクラスにも、ビッグスクーターと呼ばれる大型のAT車が存在します。こうしたAT車に限定して乗りたい場合は、AT限定普通二輪免許を取得します。
4. 大型二輪免許:すべてのバイクを乗りこなす究極の免許!

- 運転できるバイク: 排気量制限なし! すべてのバイク
- 主な特徴: 国内外のあらゆるメーカーのバイクに乗れる。長距離ツーリングも余裕でこなすパワーと安定感。
ハーレーダビッドソン、ドゥカティ、BMWといった海外メーカーの大型バイクや、国内メーカーが誇るリッタークラス(1000cc超)のスーパースポーツなど、まさにバイク乗りなら一度は憧れるであろうパワフルで魅力的なマシンたちを操ることができる、バイク免許の最高峰です。
- 高速道路の走行: 可能です。
- 二人乗り: 条件は普通二輪免許と同じです。(一般道1年以上、高速道20歳以上かつ3年以上)
排気量が大きいことによる圧倒的なパワーとトルクは、高速道路での追い越しや長距離走行を非常に楽にしてくれます。また、車体が大きく重いモデルが多いですが、その分、走行安定性が高く、どっしりとした乗り心地を味わえるのも大型バイクならではの魅力です。ただし、取り回しには相応の体力や技術が必要となる場合もあります。
AT限定の排気量上限は撤廃済み!
以前は、AT限定大型二輪免許で運転できるバイクには「650cc以下」という排気量の上限が設けられていました。しかし、2019年12月1日以降、この上限は撤廃されました。これにより、現在ではAT限定大型二輪免許でも、排気量を問わず、どんなに大きなATバイクでも運転することが可能になっています。
免許の種類とルール早わかり比較表
免許の種類 | 運転できる排気量 | 法定速度 (一般道) | 二段階右折 | 高速道路走行 | 二人乗り条件 (一般道/高速道) | 主な特徴・ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
原付免許 | ~50cc (※1) | 30km/h | 必要(※2) | × | × / × | 最も手軽、近距離向け、制限多い |
小型限定普通二輪免許 | ~125cc | 60km/h | 不要 | × | 免許1年後 / × | 街乗り快適、維持費安め、原付二種 |
AT小型限定普通二輪免許 | ~125cc (AT限定) | 60km/h | 不要 | × | 免許1年後 / × | スクーター限定、操作が楽 |
普通二輪免許 | ~400cc | 60km/h | 不要 | ○ | 免許1年後 / 20歳以上かつ免許3年後 | 高速OK、車種豊富、バイクライフの主軸 |
AT限定普通二輪免許 | ~400cc (AT限定) | 60km/h | 不要 | ○ | 免許1年後 / 20歳以上かつ免許3年後 | ビッグスクーターなどAT限定 |
大型二輪免許 | 制限なし | 60km/h | 不要 | ○ | 免許1年後 / 20歳以上かつ免許3年後 | 全てのバイクに乗れる、究極の免許 |
AT限定大型二輪免許 | 制限なし (AT限定) | 60km/h | 不要 | ○ | 免許1年後 / 20歳以上かつ免許3年後 | 全てのATバイクに乗れる (排気量上限なし) |
(※1) 2025年4月以降、「新基準原付」(125cc以下/4.0kW以下)も対象になる予定ですが、交通ルールは50cc原付と同じ見込みです。
(※2) 標識や道路状況により必要。
免許取得後の注意点:安全で楽しいバイクライフのために
念願のバイク免許を手に入れたら、いよいよ公道デビュー!ですが、その前に、そしてバイクに乗り続ける上で、いくつか大切なことがあります。
- 安全装備は「自分のため」に! ヘルメットの着用は法律上の義務ですが、それ以外の装備も非常に重要です。万が一の事故の際、体を守ってくれるのはヘルメットだけではありません。
- グローブ: 手を守るだけでなく、操作性も向上させます。
- ジャケット・パンツ: 肌の露出を避け、できれば肩・肘・背中・膝などにプロテクターが入ったバイク用のものを選びましょう。ジーパン一枚では、転倒時のダメージは防ぎきれません。
- シューズ: くるぶしまで隠れる丈夫な靴、理想はバイク用のライディングシューズやブーツを。サンダルやスニーカーは危険です。
- 保険は「万が一」への備え
バイクに乗る際は、必ず「自賠責保険(強制保険)」に加入しなければなりません。これは、交通事故の被害者救済を目的とした保険で、対人賠償(相手を死傷させた場合)のみが補償対象です。
しかし、事故では相手の車や物を壊してしまう(対物賠償)、自分が怪我をしてしまう(人身傷害)、バイクが壊れてしまう(車両保険)といった様々な損害が発生する可能性があります。これらをカバーするためには、別途「任意保険」への加入が強く推奨されます。任意保険には様々なプランがあるので、自分に必要な補償内容をよく検討して加入しましょう。 - ルールとマナーを守る意識
交通ルールを守るのは当然ですが、特にバイクは車から見えにくい、動きが読まれにくいといった特性があります。常に周囲の状況に気を配り、「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を心がけましょう。無理なすり抜けやスピードの出し過ぎは、事故の元です。また、早朝や深夜のエンジン音など、周囲への配慮も忘れないようにしたいですね。 - バイク選びは慎重に 免許を取ると、すぐにでも憧れのバイクに乗りたくなる気持ちはよく分かります。しかし、特に初心者のうちは、自分の体力や技量に見合ったバイクを選ぶことが大切です。
- 足つき: 停車時に両足のつま先、できれば土踏まずあたりまでしっかり地面に着くと安心感があります。
- 取り回し: 車体が軽ければ、押し歩きや方向転換、万が一倒してしまった際の引き起こしも楽になります。
- パワー: 最初からパワーがありすぎるバイクは、アクセル操作を誤ると危険です。まずは扱いやすいパワーのバイクから慣れていくのがおすすめです。
レンタルバイクを利用したり、試乗会に参加したりして、実際に跨ってみるのも良い方法です。
- バイクの健康管理もライダーの責任
安全に走行するためには、バイク自体のコンディションも重要です。乗る前には、タイヤの空気圧や溝の深さ、ブレーキの効き具合、チェーンの張りや油汚れ、ライトやウインカーが正常に点灯するかなどをチェックする習慣をつけましょう(日常点検)。また、定期的にオイル交換などのメンテナンスをバイクショップにお願いすることも大切です。
まとめ:あなたにぴったりの免許で、最高のバイクライフを!
ここまで、バイク免許の種類と、それぞれで運転できるバイク、そして関連するルールについて解説してきました。
- 手軽さ重視なら → 原付免許 (ただし制限が多い点に注意)
- 街乗りメインで実用性重視なら → 小型限定普通二輪免許 (AT限定も人気)
- ツーリングも楽しみたい、選択肢の広さも欲しいなら → 普通二輪免許 (AT限定も)
- あらゆるバイクに乗りたい、長距離も快適に走りたいなら → 大型二輪免許 (AT限定も)
あなたがバイクに求めるもの、バイクでどんなことをしたいかを考えながら、最適な免許を選んでみてください。もしかしたら、「まずは小型から始めて、慣れたらステップアップしようかな」という考え方もあるかもしれませんね。
免許取得は、あくまでバイクライフのスタートラインです。大切なのは、取得した後、安全に、そして末永くバイクとの付き合いを楽しむことです。このガイドが、あなたのバイクライフの第一歩を、より確かなものにするお手伝いができたなら嬉しいです。
さあ、安全運転を心がけて、素晴らしいバイクの世界へ走り出しましょう!