KTM 690 SMC R 徹底解説【2024年モデル】スペック・特徴・評価まとめ

KTM 690 SMC R 2024年モデル

「公道の無法者」「ストリートスレイヤー」とも称されるKTMのスーパーモト、690 SMC R。その刺激的な走りは多くのライダーを虜にしてきました。この記事では、2024年モデルのKTM 690 SMC Rについて、その特徴、魅力、ライバルとの比較、そして購入前に知っておきたいポイントまで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。

先にスペックを確認したい方は、こちらのボタンからジャンプできます。

目次

バイクの概要・特徴

KTM 690 SMC Rは、オーストリアのバイクメーカーKTMが誇る、スーパーモトカテゴリーのフラッグシップモデルです。そのルーツは2008年まで遡り、長年にわたり高性能スーパーモトのベンチマークとして君臨してきました。

スーパーモトとは、オフロードバイクの車体にオンロード用のタイヤを装着し、舗装路での俊敏な走行性能を追求したカテゴリー。690 SMC Rは、まさにそのコンセプトを体現したモデルと言えるでしょう。

主な特徴は以下の3点です。

  • 軽量な車体:乾燥重量147kgという軽さは、驚異的な運動性能の源泉です。
  • パワフルなLC4エンジン:定評のある692.7cc水冷単気筒エンジン「LC4」は、低回転から力強いトルクと鋭い加速を生み出します。
  • 最新の電子制御:ライディングモード、コーナリングABS(スーパーモトモード付)、トラクションコントロール、クイックシフターなど、先進の電子デバイスがライダーをサポートします。

2024年モデルでは、KTMのアイデンティティであるオレンジ色のフレームに、鮮やかなブルーのシートと新しいグラフィックを採用。よりアグレッシブでモダンな印象を与えています。

ターゲットとなるのは、パワフルで俊敏なマシンを求める経験豊富なライダーですが、充実した電子制御により、スーパーモトに挑戦したい中級者ライダーにとっても扱いやすさが向上しています。「READY TO RACE」の精神を受け継ぎつつ、ストリートでの扱いやすさも両立させた、プレミアムなスーパーモトと言えるでしょう。

魅力・注目ポイント

KTM 690 SMC Rの魅力は、なんといってもその刺激的なライディング体験にあります。ここでは、特に注目したいポイントを掘り下げてみましょう。

① 強力かつ洗練されたLC4エンジン

心臓部には、KTMが長年熟成を重ねてきたLC4エンジン(排気量692.7cc)を搭載。単気筒エンジンならではのダイレクトな鼓動感と、低回転から湧き上がる73.5Nmの強力なトルクが持ち味です。アクセルを開ければ、まるで路面を蹴り出すかのような鋭い加速を体験できます。

LC4エンジンの特徴

  • パワフル: 最高出力 55kW (約74.8PS) を発揮。
  • スムーズ: ライドバイワイヤシステムやツインバランサーシャフトにより、スロットルレスポンスは滑らかで、不快な振動も効果的に抑制されています。
  • 先進技術: 4バルブヘッド、軽量鍛造ピストン、APTCスリッパークラッチなどを採用し、高性能と信頼性を両立しています。

このエンジンが生み出すパワーとトルクは、街乗りでの機敏な走りから、ワインディングでのアグレッシブな走りまで、あらゆるシーンでライダーを満足させてくれるでしょう。

② 軽快さと安定感を両立したハンドリング

スーパーモトの真骨頂である俊敏なハンドリングも、690 SMC Rの大きな魅力です。軽量なクロモリ鋼管トレリスフレームと、高品質なWP製APEXサスペンションの組み合わせにより、ライダーの意のままにバイクを操る喜びを提供します。

特筆すべきは、フルアジャスタブルのWP APEXサスペンションです。フロントフォークは左右で伸び側・圧側の減衰力調整が独立しており、リアショックも細かなセッティングが可能。これにより、ライダーの好みや走行状況に合わせて、最適な乗り心地と接地感を得ることができます。

コーナーへの進入はシャープでありながら、コーナリング中やブレーキング時の安定性も高く、安心してバイクを寝かせ込めます。

③ ライダーを支える先進の電子制御

2024年モデルの690 SMC Rは、最先端の電子制御パッケージを搭載しており、ライダーはバイクのポテンシャルを安全に引き出すことができます。

  • コーナリングABS (スーパーモトモード付): Bosch製のABSは、車体の傾きを検知してバンク中でも最適な制動力を発揮。さらに、スーパーモトABSモードを選択すれば、リアのABSを解除しつつフロントのABS介入度を抑え、意図的なスライドコントロールも可能です。
  • リーンアングルセンサー付きMTC (トラクションコントロール): コーナリング中の加速時など、リアタイヤのスリップを検知するとエンジン出力を制御。バンク角も考慮するため、様々な状況で安定した走行をサポートします。オフにすることも可能です。
  • Quickshifter+: クラッチ操作なしでスムーズなシフトアップ/ダウンが可能。特にスポーツ走行時に威力を発揮し、よりライディングに集中できます。
  • ライドモード: 「Street」と「Supermoto」の2つのモードを選択可能。スロットルレスポンスやMTCの介入度などが変化し、状況に応じた走りを楽しめます。
  • MSR (モータースリップレギュレーション): 急激なシフトダウンやスロットルオフ時のエンジンブレーキによるリアタイヤのホッピングやスリップを抑制します(オプションではなく標準装備のようです。確認が必要。レポートには記載あり。KTM Japanサイトでは明記なし。一旦記載しておく)。

これらの電子制御は、アグレッシブな走りを安全に楽しむための強力な味方となります。

ライバル車種との比較

KTM 690 SMC Rを検討する上で、比較対象となりやすいライバル車種を見てみましょう。ここでは特に強力なライバルとして、同じグループ内の兄弟車と、近年登場したイタリアンモデルを挙げます。

Husqvarna 701 Supermoto (ハスクバーナ 701 スーパーモト)

エンジンやフレームの基本コンポーネントを690 SMC Rと共有する兄弟車です。主な違いはデザインとカラーリング、そして細部のパーツ(ハンドル形状など)にあります。

  • 共通点: LC4エンジン、トレリスフレーム、WP APEXサスペンション、電子制御(コーナリングABS、MTC、Quickshifter+など)。
  • 相違点:
    • デザイン: ハスクバーナは、よりモダンで洗練されたスカンジナビアンデザインを採用。KTMのアグレッシブさとは対照的です。
    • カラーリング: ホワイト/グレー/イエローを基調としたカラー。
    • 価格: 690 SMC Rとほぼ同価格帯(2024年モデル国内価格: 1,769,000円)。

性能的な差はほとんどないため、デザインの好みで選ぶことになるでしょう。KTMのレーシーなオレンジか、ハスクバーナのクールなデザインか、個性が分かれるところです。

Ducati Hypermotard 698 Mono (ドゥカティ ハイパーモタード 698 モノ)

2024年に登場したドゥカティの新型スーパーモト。新開発の「Superquadro Mono」エンジンを搭載し、このクラスに新たな風を吹き込んでいます。

  • エンジン: 659cc 単気筒エンジン。最高出力は77.5PSと、690 SMC Rを上回ります(海外仕様参考値)。高回転型の特性を持つとされています。
  • 電子制御: ドゥカティらしい高度な電子制御パッケージ(コーナリングABS、トラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキコントロールなど)を搭載。
  • デザイン: ドゥカティならではの情熱的でスタイリッシュなデザイン。
  • 価格: Baseモデルで $12,995 (米国参考価格)、RVEモデルで $14,495 (米国参考価格)。日本国内価格は未発表ですが、690 SMC Rと同等か、やや高価になる可能性があります。
  • サスペンション: フロントにマルゾッキ製、リアにザックス製を採用(Baseモデル)。

690 SMC Rとは異なるエンジン特性やデザイン思想を持つモデルです。高回転域でのパワードゥカティブランドに魅力を感じるなら、比較検討の価値があるでしょう。

KTM 690 SMC Rは、長年熟成されたLC4エンジンのトルクフルな特性と、レースで培われたシャープなハンドリング、そしてKTMらしいアグレッシブなデザインが特徴です。兄弟車や新たなライバルと比較しても、その個性と完成度の高さは際立っています。

どんな人におすすめ?

KTM 690 SMC Rは、以下のようなライダーに特におすすめです。

① 刺激的な走りを求める経験豊富なライダー

軽量な車体とパワフルなエンジンの組み合わせは、まさに「操る楽しさ」を凝縮したもの。コーナーを俊敏に駆け抜け、アクセルを開ければ力強く加速する… そんなダイレクトでスリリングな走りを求めるライダーには最高の相棒となるでしょう。

② 街乗りからサーキットまで幅広く楽しみたいライダー

スーパーモトの魅力は、その汎用性の高さにもあります。ストップ&ゴーの多い街中での機動力はもちろん、週末のワインディングでは水を得た魚のように駆け巡り、時にはサーキットに持ち込んで本格的なスポーツ走行を楽しむことも可能です。様々なシーンでバイクライフを満喫したいアクティブなライダーにぴったりです。

③ 個性的で存在感のあるバイクに乗りたいライダー

KTM独特のアグレッシブなデザインと鮮やかなオレンジカラーは、街中でもツーリング先でも圧倒的な存在感を放ちます。「他の人とは違う、個性的でカッコいいバイクに乗りたい」というライダーの所有欲を満たしてくれる一台です。

購入前にチェックしたいポイント

魅力あふれるKTM 690 SMC Rですが、購入を検討する際にはいくつか確認しておきたいポイントがあります。

① 価格帯

2024年モデルの日本国内でのメーカー希望小売価格は1,749,000円(税込)です。高性能なエンジン、高品質な足回り、充実した電子制御を備えていることを考えると納得の価格ですが、決して安価ではありません。予算との兼ね合いを十分に検討しましょう。

② 足つき性

シート高は890mmと、オフロードバイク由来のスーパーモトとしては標準的ですが、身長によっては足つきに不安を感じるかもしれません。サスペンションストロークが長く、乗車時にはある程度沈み込みますが、購入前には必ず実車に跨って確認することをおすすめします。ディーラーによってはローダウンキットが用意されている場合もあります。

③ 単気筒エンジン特有の振動

LC4エンジンはバランサーによって振動が低減されていますが、それでも大排気量単気筒エンジン特有の鼓動感や振動は存在します。特に高速道路での巡航時などに気になるかもしれません。これも試乗で確認したいポイントです。ただし、この振動を「味わい」と感じるライダーも少なくありません。

④ 維持費

ハイパフォーマンスな輸入車であるため、国産バイクと比較すると部品代やメンテナンス費用がやや高くなる傾向があります。また、指定燃料はハイオクです。定期的なメンテナンスをしっかり行うことで、長く良好なコンディションを保つことができます。

⑤ リセールバリュー

KTMのバイクは、コアなファンが多く、比較的リセールバリューは安定している傾向にあります。特に690 SMC Rのような人気モデルは、状態が良ければ高値での売却も期待できるかもしれません。

まとめ

KTM 690 SMC R 2024年モデルは、軽量な車体パワフルなLC4エンジン洗練されたWP製サスペンション、そして先進の電子制御を高次元で融合させた、まさに究極のストリート・スーパーモトです。

KTM 690 SMC R (2024) のポイント

  • スーパーモトの楽しさを凝縮した刺激的な走り
  • 熟成されたパワフル&トルクフルなLC4エンジン
  • 軽量フレームと高性能WP APEXサスペンションによる俊敏なハンドリング
  • コーナリングABS(スーパーモトモード付)やMTCなど充実の電子制御
  • アグレッシブで個性的なデザインとカラーリング
  • 街乗りからサーキットまでこなせる汎用性

価格や足つき性など、購入前に確認すべき点はありますが、それを補って余りある圧倒的なパフォーマンスとライディングの楽しさを提供してくれます。

もしあなたが、日常に刺激を求め、バイクを意のままに操る喜びを味わいたいなら、KTM 690 SMC Rは最高の選択肢の一つとなるでしょう。

この記事を読んで少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度お近くのKTM正規ディーラーで実車を見て、可能であれば試乗してみてください。その魅力にきっと引き込まれるはずです。

スペック

2024 KTM 690 SMC R(国内仕様)の主要スペックは以下の通りです。

価格1,749,000円(税込)
年式2024年
排気量692.7cc
最高出力55 kW (約74.8 PS)
最大トルク73.5 Nm
エンジン形式水冷4ストローク単気筒 DOHC 4バルブ
ミッション形式常時嚙合式6段リターン
タイヤサイズ(前)120/70 ZR 17 (Bridgestone S21)
タイヤサイズ(後)160/60 ZR 17 (Bridgestone S21)
ブレーキ形式(前)Brembo 4ピストン ラジアルマウントキャリパー、ディスク径 320mm
ブレーキ形式(後)Brembo 1ピストン フローティングキャリパー、ディスク径 240mm
サスペンション(前)WP APEX 48 倒立フォーク(フルアジャスタブル)
サスペンション(後)WP APEX モノショック(プロレバーリンク、フルアジャスタブル)
全長×全幅×全高非公表 × 約808mm (ハンドル幅) × 非公表
ホイールベース1,476 ± 15 mm
シート高890 mm
車両重量約147kg(燃料除く)
タンク容量約13.5L
燃費(WMTC)非公表
乗車定員2名
その他装備コーナリングABS(Supermotoモード付)、MTC(リーンアングル連動)、ライドモード(Street/Supermoto)、Quickshifter+、ライドバイワイヤ、APTCスリッパークラッチ
カラーオレンジ/ブラック/ブルー


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